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    狂愛 ( 3 )

     黎翔が夕鈴を連れ戻した翌日、王宮の陛下私室は準備に追われていた。今日の接見は公務ではない為、謁見の間ではなく陛下私室で昼餉を食しながら行う事となった。夕鈴はその部屋で到着を待っている。黎翔は政務がある為、彼らの到着後部屋に戻る予定だ。先触れから間もなく到着すると知らせが入り、夕鈴は侍女を従え王宮入口に向かう。入口に着いたと同時に、迎えに出た馬車が到着し中から3人が出てきた。3人は黎翔の用意した衣装を身に纏っている。
    「父さん、青慎。・・・っと、なんで几鍔まで居るのよ!」
    「夕鈴、なんだ?その格好。まるでお妃様みてぇじゃねぇか。」
    「・・・取敢えず案内するから部屋に行きましょう。」
    夕鈴を先頭に3人は後ろを着いて行く。その後ろに侍女が従っている。青慎は小声で、
    「ねぇ、父さん。姉さんって掃除婦じゃないの?何で侍女を従えてるの?」
    「とっ父さんに聞かれたって・・・」
    「李翔さんって偉い人だったのかな?」
    「さぁ?・・・父さん、会った事ないしなぁ。」
    父と青慎は不安顔をしているが、几鍔は話をしないだけで、いつもと変わらない態度だ。部屋に案内された3人は、あまりの豪華さに度肝を抜いた。壁だけでは無く、天井にまで鮮やかな絵が描かれている。置いてある壺等は、素人が見ても最高級品だと思う物ばかりだ。流石に几鍔も驚きを隠せない。
    「陛下をお呼びして参ります。」
    女官の言葉に3人は顔を会わせ、青慎が、
    「今・・・陛下って言ってなかった?陛下って国王陛下?」
    それを見ていた夕鈴は苦笑いをし、
    「突っ立っているのもなんだし、座って待っていましょう。」
    声を掛け、席を勧めた。暫くして、
    「陛下がお戻りになられました。」
    女官の言葉に夕鈴が立ち上がり、黎翔に礼を執ると、3人も真似て礼を執る。
    「堅苦しいのは抜きだ。座ってくれ。」
    黎翔は上座の席に座り、夕鈴が着席すると3人も席に着いた。そして顔を上げた青慎と几鍔は驚愕した。
    「え、り・・・李翔さん?」
    「お前!陛下って・・・」
    黎翔は唇に人差し指を立て、
    「詳しい話は食事を摂りながらにしよう。」
    夕鈴の父は固まって瞬きすら忘れている。黎翔が掌を上げると、女官達が次々と食事を運んでくる。黎翔と父と几鍔には酒を、夕鈴と青慎には茶が注がれると、黎翔は再び掌を上げ、
    「お前達は下がれ。」
    と人払いをする。侍女達の気配が消えると、
    「青慎君、几鍔君。李翔と言う名は偽名だ。騙していてすまない。」
    黎翔の言葉に、
    「偽名?それと陛下って、どういう事だ。」
    几鍔が一番に喰い付き、
    「私の本当の名は、珀黎翔、この国の王だ。」
    「お・・・うさんくせぇ奴だとは思ってたけどよ。まさか国王陛下だったとはな。あの冷酷非情で有名な狼陛下なのか?そんなお方が、なんで夕鈴なんかを!?」
    「夕鈴と知り合った詳しい経緯を話す事は出来ないが、彼女は王宮の掃除婦でもあり、私の妃でも在ったのだ。」
    「ちょっと待て!噂に聞いた、現国王の唯一の寵妃って・・・夕鈴の事だったのか?」
    「そうだ。私の寵愛を一身に受けている妃だ。」
    黎翔は夕鈴の髪に腕を伸ばし、それを一房手に取り、愛おしそうに笑みを浮かべるとそこへ口付け、夕鈴は顔を赤くし俯く。
    「それじゃ、なんで夕鈴は帰ってきたりしたんだ。」
    「昨日も話した通り、私の側近が内密に彼女を帰らせた。夕鈴は下町の育ちで後ろ盾も何も無い。それを良く思わず、然るべき家柄の娘を妃に娶れと、彼女を私から引き離そうとしたのだ。」
    「そっそうだ、あんたは何人もの妃を娶ることが出来るんだろ。下町育ちの夕鈴が、そんなのに耐えられる訳ねえじゃねぇか!」
    「私は妃に後ろ盾など望んではいない。ずっと傍にいて、心に安らぎを与えてさえくれればそれでいい。それを望むのは夕鈴ただ1人。夕鈴しか出来ない事だ。それは未来永劫変わらぬ。夕鈴は私の正妃となり、他の妃を娶る事は無い。」
    「え、正妃?」
    黎翔の言葉に夕鈴は顔を上げ、驚愕した顔で黎翔の瞳を見つめた。
    「そうだ、夕鈴。君は正妃となるのだ。後日、正式な婚礼の儀を執り行う。あぁ、君達も儀には参列してくれ。」
    視線を移した黎翔は、己を睨む几鍔に勝ち誇った表情を向ける。几鍔は眼を閉じ手を振りながら、
    「あ~解った解った。もう何も言わねぇよ。な、青慎。」
    呆然と話を聞いていた青慎は、急に自分に振られ、頭をカクカクと上下に振るしか出来ない。父は固まった儘だ。
    真剣な顔をした黎翔は、卓に両肘を付き、指を組むとそこへ顎を乗せ、
    「これは肝心な事なのだが、夕鈴が妃と言う事は他言しないでくれ。」
    「なっ!ちょっと待て。それは、やっぱり下町育ちの夕鈴のことは隠したいって事か!」
    几鍔が怒気を放った。
    「そうじゃない。君にだって大体の察しは付くだろう。」
    「狙われる危険があるって事か。」
    「彼女は私が守るが、お父上と青慎君は、私が直接守る事は出来ない。居の周辺は警備兵を増やすが、そうならない為にも彼女の出所は伏せる必要があるのだ。」
    「お前は夕鈴をちゃんと守れるのか?本当に大丈夫なんだろうな?」
    「私を誰だと思っている。伊達に冷酷非情の狼陛下と呼ばれている訳ではない。どんな事をしても彼女は守る。」
    「そうだな、解った。」
    几鍔は渋々納得し、青慎は青い顔をして頷く。父は固まった儘・・・。
    「では食事を楽しもう。冷めてしまう。」
    「おう。青慎、大量の御馳走だ。全部食って帰ろうぜ。」
    「あ、はい!」
    几鍔と青慎はガツガツと食していく。父は夕鈴に揺さぶられ、漸く我を取り戻した。黎翔は侍女を呼び、再び酒を運ばせ、やっと賑やかな食事となったのだった。
     食事が終わり、名残惜しそうにしている夕鈴に、3人は順に別れの挨拶をする。まずは父が、
    「夕鈴、今まで苦労掛けたな。これからは幸せになってくれ。」
    「父さん、賭け事は止めて、青慎に苦労掛けないでね。」
    そして青慎が、
    「父さんの賭け事は、僕が見張るから大丈夫だよ。姉さんは家の心配はしないで、自分の事考えてね。」
    「青慎、掃除婦バイトで仕送りはするから、ちゃんと勉強するのよ。」
    「うん、お義兄さんになる人の下で働ける様に頑張るよ。」
    そして几鍔が、
    「まぁなんだな。揶揄う相手が居なくなって、つまらなくなるな。あ~、お前の親父には金貸さねぇ様にするから、安心しろ。」
    「うん、ありがとう。あんたも父さんが賭け事しない様に、見張っててね。」
    「そんな事より、お前本当に大丈夫なのか?今までも、命を狙われたりした事あるんじゃねえのか?」
    夕鈴は苦笑いをし、
    「そうね。でも、いつも陛下が助けてくれたから。今後も何かあっても助けてくれるって、信じてるの。」
    「・・・そうか。でも何かあったら、何時でも俺の所に逃げてこいよ。」
    「陛下を置いて逃げるなんて出来ないわ。」
    夕鈴の力強い瞳に、几鍔は言葉を続ける事が出来なかった。
    挨拶が終わり、黎翔と夕鈴は3人を見送る為に、王宮入口まで赴いた。父、青慎と馬車に乗り込み、僅かに振り向いた几鍔を睨み付けながら、黎翔は夕鈴を強く抱き締める。彼女は己のものだと見せ付けるかの様に。それは几鍔が馬車に乗り込み戸を閉めるまで続いた。一見穏やかな会食だったが、黎翔は夕鈴の唇を奪った几鍔を許せないでいたのだ。馬車が走りだし、それを浩大が密かに追って行く。何処かの密偵の追跡を阻止する為に。

     3人を見送った後、黎翔は政務に戻り、夕鈴は後宮の黎翔の私室に戻った。ぼんやりと窓から外を眺めていた夕鈴は、ある事に気が付く。それは後宮に戻ってから、1度も李順に会っていないのだ。
    『変よね、1度も李順さんに会わないなんて・・・だいだい父さん達に明かすのだって立ち合いそうなものなのに・・・』
    夕鈴は、黎翔が戻ったら聞いてみようと考えた。

     陽が落ち、辺りが暗闇に包まれ始めた頃、黎翔は政務を終え後宮の私室に戻ってきた。
    「妃よ、今帰った。」
    「お帰りなさいませ、陛下。」
    黎翔は夕鈴を引き寄せ、頬を啄む。
    「へっ陛下、人に見られてしまいます。」
    赤い顔で夕鈴は抗議をし、侍女には解らない様に黎翔の腕を少し抓った。
    「私の妃は何時までも初心で愛らしい。さっさと食事を済ませ、早く2人きりになろう。」
    夕餉を済ませ、夕鈴は黎翔に茶を淹れながら、あの事を聞いてみる事にした。
    「陛下、お伺いしたい事があるんですけど。」
    「うん、なに?」
    「李順さんはどうしたんでしょう?戻ってから1度もお会いしてないんですけど。」
    「李順は解任したよ。もう王宮には居ない。」
    「ふぇ?」
    黎翔は夕鈴の掌を掴み、
    「君を私から引き離そうとしたのだ。当然だろう。」
    「当然て・・・」
    夕鈴は顔をグワッとさせ怒りだし、
    「陛下、何やってるんですか!」
    「へ、夕鈴?」
    「李順さんは陛下の優秀な臣下じゃないですか。」
    「で・・・でも、然るべき娘を娶れとか・・・君を追い出したんだよ?」
    「それでもです!李順さんは陛下を思ってやった事でしょう。私と違って、陛下のお役に立つ人なんですから。駄目じゃないですか!」
    黎翔は夕鈴の手を引き、彼女を己の膝の上に座らせ腰を抱くと、
    「夕鈴、君が役に立たないなんてことは無い。君が居るから私は仕事を頑張れるのだ。」
    「そっそれでもです。李順さんは陛下の為に、身を粉にして働いてきたじゃないですか!私の事なんかで首にしちゃ駄目です。呼び戻して下さい!」
    「ええ、夕鈴。呼び戻すの?」
    「そうです。呼び戻さないんなら、私も出て行きますよ!」
    「えええ・・・ヤだよ夕鈴。出て行かないでよ~。」
    「だったら李順さんを呼び戻して下さい!」
    「解ったよ・・・。明日使いを出すよ。その代わり・・・」
    「なっなんですか?」
    「一緒に湯浴みしてね。」
    「ななな、何言ってるんですか?」
    「僕は李順に怒ってるんだよ?顔も見たくないくらい・・・それを呼び戻すんだから・・・。さあ夕鈴、早速湯浴みに行こう。」
    黎翔は暴れる夕鈴を抱き上げ、ニコニコと湯殿に向かった。脱衣所に入ると黎翔は、
    「夕鈴、服脱ごうね。」
    と、夕鈴の衣装を脱がそうとする。
    「へっ陛下、先に入ってて下さい。」
    「駄目だよ。僕が先に入ったら逃げそうだし。」
    『う・・・読まれてる。』
    夕鈴は仕方なく衣装を脱ごうとするが、黎翔にずっと見られていては流石に脱げない。
    「ぬっ脱ぎますから、後ろ向いていて下さい。」
    黎翔は、後ろを向いている間に夕鈴が逃げない様に、出入口を塞いで立ち背を向けた。服を脱いだ夕鈴は、
    「わっ私、先に入ってます。」
    と、湯殿に走って行った。
    「夕鈴、湯殿で走ると、ころ・・」
    “ゴン”と、湯殿から大きな音がして慌てて黎翔が入って行くと、夕鈴は仰向けで倒れ眼を回している。黎翔の目の前には美味しそうな、魅惑的な裸体が転がっている。彼は生唾を飲み込み、ググッと我慢した。昨日、夕鈴を無理矢理抱いてしまったが故に、彼女の蜜壺は傷付いているだろうと考え、それが癒えるまでは、と我慢しているのだ。黎翔は滾りだしそうなものを何とか抑え、夕鈴を抱えた。
    「夕鈴、大丈夫?」
    彼女の頬を軽く叩き、声を掛けると、
    「う~~痛い・・・」
    夕鈴が意識を取り戻し、
    「湯殿は滑るから走ったらあぶないよ。立てる?」
    夕鈴は後頭部を摩りながら、己の格好に気が付き、
    「ギャアアアアアアアアアア」
    喚き湯の中へ飛び込んだ。いくら契りを結んだからと言っても、昨日は衣装を全て脱がされた訳ではない。まだ全裸は見られていなかったのだ。醜態を晒した夕鈴は湯の中で縮こまる。
    「クス、夕鈴、服脱いで来るから待っててね。」
    黎翔は脱衣所に戻り、服を脱いでから再び湯殿へ入った。湯の中に入ると夕鈴の後ろまで行き、そこに座り彼女を後ろから抱き締める。彼女の後頭部に手を当てると、
    「大きいタンコブ出来てるよ。」
    「すみません、とんだ醜態を・・・お騒がせ致しました。」
    夕鈴は顔を真っ赤にし、俯いた儘恥ずかしそうに答えた。
    「今日は仰向けで寝ない様に気を付けないとね。僕が抱き締めてるから、夕鈴は安心して寝ていいよ。」
    「だだだ抱き締めてって・・・」
    昨日も夕鈴と黎翔は寝台を共にしているが、手を握り合っていただけなのだ。
    「僕はほとんど寝返りしないから、抱き締めてれば君も寝返り出来なくて、タンコブを枕で擦ちゃったりしないでしょ。」
    「それはそうですけど・・・」
    「大事な花嫁さんが、痛い思いをしない様にしないとね。」
    「うううう」
    「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのになぁ。これからは毎日一緒に寝るんだし。」
    「えええ、毎日?」
    「だって本物の夫婦になったんだから。夕鈴、僕と寝るの嫌なの?」
    「えっと・・・いっ嫌って事は・・・ないですけど。」
    「良かった~。僕、夕鈴と一緒だとぐっすり眠れるんだぁ。」
    「そっそうですか。それは・・・良かったです。」
    「うん、そろそろ体洗おうか。夕鈴、僕が洗ってあげるよ。」
    「えええ、じっ自分で洗えます!」
    「洗うのが一番の楽しみなんだから・・・李順、呼び戻すんでしょ?」
    「陛下・・・狡いですよ!」
    「怒ってもいいよ。夕鈴は怒り顔も可愛いから。さぁ、洗おう。」
    黎翔は夕鈴の手を引き湯船から出る。己の前に夕鈴を座らせ、彼女の長い髪を一つに束ね体の前側に退かすと、背を手拭いで優しく洗い始めた。
    「君の肌は白くて肌理細やかで柔らかい。こんなに滑らかで綺麗な肌を、手拭いなんかで擦ったら傷付けてしまうな。」
    「へっ陛下。なんで狼陛下なんですか!手拭いで擦ったって傷なんて出来ませんよ。」
    夕鈴は胸の前で腕を交差させ、背中を丸めて羞恥に耐える。しかし、この後の黎翔の行動で、夕鈴の羞恥は最高潮を迎えた。黎翔は手拭いを桶に入れ、夕鈴の肩を押さえると、舌で彼女の背を舐め始めた。夕鈴は声を殺し身を固くして、擽ったい様なゾクゾクする刺激に耐える。黎翔の舌は徐々に上へと昇って行き、項や耳朶をも舐め上げる。夕鈴は小さく息を吐き出し、黎翔が耳の中を舐め上げると、
    「ふぁぁ」
    と、甘い吐息が零れてしまった。肩を押さえていた黎翔の掌は、夕鈴の腕を通り脇腹へと滑って行く。太股や腹を撫で回し、胸の前で交差させている、彼女の腕の下方から内側に押し入り、掬うように乳房を撫で上げる。指で蕾を強く摘み、
    「やぁぁぁん」
    夕鈴が更に体を丸め喘ぎを零すと、黎翔はハッと我に返り、
    「ごめん、夕鈴。体冷えちゃうよね。早く洗って温まろう。」
    「ふぇ、陛下?」
    黎翔は慌てて手拭いで夕鈴の体を全て洗い、己の体も洗い終ると、彼女の手を引き湯に浸かり、後ろから抱き締めるだけに止めた。眠る時も黎翔は夕鈴を抱き締め、額や蟀谷に口付けるだけで、それ以上の行為はしなかったのだ。夕鈴の腹の奥には疼きが燻りだしていた。


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    管理人は熱しやすく冷めやすいです。飽きるのが早いです。長続きしないと思われますが、どうぞそれまでお付き合いください。

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