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    37話後の妄想

    久しぶりに後宮に帰ってきた黎翔は、疲れきった表情で夕鈴の私室を訪れた。
    「お帰りなさいませ、陛下。ご政務大変だったんですから、早くご自分のお部屋にお戻りになって、お休みになった方が宜しいんじゃないですか?」
    来てくれたのは嬉しいけど・・・と思いながらも、黎翔の体を心配する言葉を口にする。
    「愛おしい君に癒して欲しくてな。君はこの数日、私に会えず寂しくは無かったのか?」
    「とっとても寂しゅうございました・・・」
    「お前達はもう下がれ。早く我が妃と2人きりになりたいからな。」
    黎翔が手を上げると、侍女は音も無く下がっていく。
     仲良し夫婦演技が終わり長椅子に腰を下ろした黎翔は、
    「ふぅ。夕鈴、疲れたよ~。」
    すっかり子犬になり、甘えた声を出す。
    「凄い書簡の量でしたもんね。全て終わったんですか?」
    夕鈴は茶を淹れながら彼に応える。
    「全部じゃないけどキリの良いところまではね。」
    「まだ残ってるんなら、明日に備えてお休みになった方がいいですよ。これから暑くなってきますし、しっかり睡眠を摂らないと。」
    と、彼女は淹れた茶を黎翔に差し出す。彼はそれを受け取り、
    「大丈夫だよ。睡眠を摂るより、夕鈴の顔を見れた方が疲れは取れるから。」
    疲れた顔から一変して満面の笑みになった黎翔に、
    「夕鈴も座って。」
    「はい。」
    夕鈴は彼に即される儘、隣に腰を下ろした。
    「そこじゃないよ。」
    「え?」
    彼はひょいと彼女を抱き上げると、己の膝の上に座らせた。
    「あっあの・・・陛下?」
    「この間、散歩に出たら雨が降って四阿に掛け込んだ時に、夕鈴は僕にされてイヤな事は何もないって言ってたでしょ?」
    「まぁ、確かに言いましたが。」
    「と言う事は、こうゆうのも嫌じゃなかったって事だよね?」
    「え?ええ!?でもっ、あのっ、今は2人きりなんですから夫婦演技は必要ないじゃないですか。」
    「うん。僕は今狼陛下じゃないよ?だから夫婦演技じゃないよね。」
    「そう言うの、屁理屈って言いません?」
    「そうかな?でも嫌じゃないんだよね?」
    「えっと、まぁ・・・嫌って訳じゃ・・・」
    「良かった~。それじゃ夕鈴が里帰りしていた時のイヤガラセも、嫌じゃなかったって事だよね?」
    「はい?ななな、何が言いたいんですか!?」
    顔を真っ赤にさせた夕鈴が黎翔の膝の上で暴れるが、彼に腰をガッチリと抑えられ、そこから逃げる事が出来ない。
    彼は彼女の頬に片手を添えると、
    「今後の為にも確認しておいた方がいいと思うんだ。嫌じゃなかったんだよね?こうしたのも・・・」
    黎翔は夕鈴の頬に軽く口付け、
    「こうしたのも・・・」
    続けて瞼に口付けた。
    「へっ陛下!揶揄うのはやめて下さい!」
    夕鈴は眼に涙を溜め、両腕で彼の胸を押し逃れようとするが、彼女の腰を抑えている彼の腕に更に力が込められ、
    「だってさ、夕鈴の嫌がる事を色々考えてみたけど良く解らなくて。やっぱり本人に聞くのが一番かなって思ってね。何処までなら大丈夫なの?」
    「何処までって・・・何をする気ですか?」
    「君が臨時妃だからとかは考えず、本当に嫌だって思ったら止めてね。」
    黎翔の口付けは額から瞼、頬へと移動し、唇の直ぐ脇にも口付けられた。
    「まだ止めないんだね。ここはどうなのかな?ここに一番口付けたいんだけど。」
    黎翔は親指の腹で、夕鈴のプックリとした愛らしい唇をなぞり、ゆっくりと顔を近付ける。
    ただ茫然と黎翔にされるが儘になっていた夕鈴は、真正面に近付く黎翔の顔にしばし見惚れたが、はっ!と意識を覚醒させ、
    「ダっダメです!」
    「え~ダメなの?」
    「ダメです!一体なんのイヤガラセですか?」
    「イヤガラセじゃないよ、確認してるだけ。夫婦演技の幅を広げる為にも、口付けは必要じゃない?」
    「何言っちゃってるんですか?こんな事、人前でするつもりなんですか!?」
    「うん。狼陛下の寵愛が一層深まったって、みんな思うよ。」
    「いくらプロ妃を目指すって言ったって、そんな恥かしい事嫌です!」
    夕鈴は叫びながら寝所へと走っていく。
    「ええ~、慣れちゃえば平気だよ。夕鈴、こっちに来て沢山練習しようよ。」
    と、寝所に向かい彼女を呼ぶ。
    涙目で出てきた夕鈴の両手には枕が握られており、
    「陛下の馬鹿ぁ!出て行って!!」
    それを黎翔に向かい投げ付けた。
    「ちょっ夕鈴?この光景記憶にあるけど、出て行くとか言わないよね?」
    「今直ぐ陛下が出て行ってくれないなら、私が出て行きます!」
    「えええ?ダメだよ夕鈴!そんな事したら今度こそクビになっちゃうよ。僕、部屋に帰るから。嫌じゃなかったって聞いて、ちょっと浮かれちゃったんだ。だから落ち着いて・・・ね?」



     翌日、夕鈴は私室から一度も出る事無く、黎翔は中に入れて貰う事すら出来ない。
    夕刻になり追加の書簡を政務室に運び入れた周宰相は、幾分覇気のない黎翔に声を掛ける。
    「陛下、どうなさったんですか?何かお妃様の事で?」
    「少し調子に乗ってしまってな。まぁ、今回は大嫌いと言われなかっただけ・・・良かったんだろうな・・・」
    と、黎翔は深い溜息を吐き出した。
                
    黎翔から視線を移した周宰相は、政務室の窓の向こうに広がる薄暗くなった空に薄らと輝く一番星を見付け、それをじっと眺めていた。


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    美夜

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    管理人は熱しやすく冷めやすいです。飽きるのが早いです。長続きしないと思われますが、どうぞそれまでお付き合いください。

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